今回は、川野芽生さんの『奇病庭園』の感想です。 久々の日本の作家、しかも現代。
目次
あらすじ
角が生える、鱗が生える、鰭が生える、翼が生える….
そんな奇病が流行っている世界。
主に、翼が生えた妊婦に産み落とされた双子の赤子の話。
感想
奇病が流行っても悲観的なものではなく、仕方のないもののような感じ。
騒ぎ立てると思ってたけど、そんな騒がない。
普通ではないことが当たり前のような感じの世界。
凡人の私には、恐ろしく感じる。
自分に鱗が、角が、鰭が生えたらと考えると怖くて怖くて。
角なんて生えたら、もう死ぬしかなくて怖い怖い。
話は短編が集まって長編になったような感じ。
登場人物多くなって、ちょっと私の頭ではキャパオーバー。
あれ?見たことあるような名前と思って、前のページめくって思い出すという始末。
記憶良い人だと、すぐ話の繋がりが掴めて面白さがすぐ味わえて羨ましい。
双子の二人に関連する話以外もあり、私的にはイリュアンが出てくる『翼に就いてⅡ』が一番好き。
所属していた教団から脱出して、生きやすさや自由を手に入れた感じのイリュアン。
教団のいう普通の押し付けがとても嫌。
私も普通に当てはまらないものをもっているので共感する。
ただ教団に連れ戻そうとするフュルイがとても嫌。
善意の押し付けそのものでとても嫌。
自分の行動が正しいと思いこんで、押し付けてくる人の嫌さが現れていて読んでてムッとする。
もうちょっと目を覚ましてくれたら、イリュアンは平和だったのかなと思う。
フュルイ、罪深いぞ。
そんな感じで、読み応えはある感じですが短編の集まりの長編って感じなので、
幻想文学系を初めて読むのにはいいのではないかなと思いました。